由香里はふと、目が覚めてしまった。

(…まだ真夜中だよね)

枕元の携帯を開く。

02:07

彼女は眠りが浅い方だが、
こんな時間に起きたのは久しぶりだ。

携帯を閉じたら、部屋はまた、暗闇に包まれた。
色々な事がぼんやりと頭に浮かぶ。

明日…もう今日か…
空き缶の回収日だっけか
きれいにしとかないとな…
青山さんちのお姑さんにチェックされちゃうしな…
ほんと、細かい人だ

あ。どこかで猫がケンカしてる

遠くで救急車のサイレンが鳴ってる


…母さん元気かな

しばらく帰ってない


母親の事を考えたら、由香里は何だか急に寂しくなってきた。

途端に部屋の暗さが重くのしかかってきた。

夫の篤は、隣で安らかな寝息を立てている。
そっと触れてみた。

背中だ。

こんなに広かったかなと思う。

くんくんと犬のように匂いを嗅いだ。

寝る前に風呂に浸かった為か、入浴剤の香りがした。
パジャマに染み付いた汗の匂いと一緒になっている。

嫌いな匂いじゃない。

篤が寝返りを打とうとしたので、由香里は慌てて身を引いた。

暗さに目が慣れてきたせいか、仰向けになった篤の様子が良く判る。

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