大変にマニアックなネタです。
申し訳ない(笑


久しぶりの休日である。
『久しぶり』は俺にとって『休日』の枕詞であることよなぁ。
さて。
散髪に行かねばな。
少し伸びてしまった。
いつもの店で、いつものように
五厘の角刈りにな。

おや?
新しい店が出来てるな?
基本的に散髪屋は浮気しない性分だが、
ちょいと気になるな…

『言葉で刈る頭』
ほほう。
言霊使いの端くれとしては放ってはおけぬな。
頼もうーっ!

「いらっしゃいませ」

む。くるりんと巻き上がった口髭がお洒落ですな。
散髪をお願いしたいのですが

「どうぞこちらへ。今日はどのような?」

ええとですな、五厘の角刈りに

「は?」

いや、ですから五厘の角刈り…

「うちではそういうのは、やっておりません」

え。でもここ、散髪屋では

「五厘の角刈りに近いようなメニューは
ございます。
『無言の人々に護られた英霊刈り』
これが他店で言うところの五厘刈り」

む。それは、もしかして川路柳虹の現代詩『かへる霊』の一片では

「おや、よく御存知で」

一応は物書きの端くれですからな
なるほど、好みの詩に合わせてイメージした
髪型にしてくれるのですか

「さようでございます。例えば、あちらの方は、
ウィリアム・イェイツ氏の作品『鎮めがたき妖精たち』を
アレンジしてみました」

あぁ。
あぁなるほど、やや髪の薄い方ですものね。
『ハゲタカが白い重い翼を広げて、冷たい心で
天翔けるとき、彼らは北風にまたがる』
ですか。
残り僅かな毛を白く染めたと。

や、これは面白いっ!
では私も是非お願いしたい
しかしながら、現代詩は不得意でしてな。
御主人、私のイメージで何か浮かびませんか?

「お客様の。ふぅむ…少々お待ちを」

うむ。なかなかの技術。
なんだか眠くなってきましたな…
お任せして居眠りしようかな…


……はっ!
すっかり寝てしまった
できましたか御主人。

「ええ。まさに私のイメージ通り。さ、いかが?」


む。むむむ。

……なんですかな、これは。
つるつる頭の天辺だけに髪の毛が。
あまりと言えばあんまりな。
これは一体、何の詩ですか

「あめふり熊の子です」

ははぁ。なるほど。


なかなか やまない あめでした
かさでも かぶって いましょうと
あたまに はっぱを のせました