「手の目か」
これが先程までの子猫か、と思わせる程の威厳に満ちた声である。

「なんじゃ?ぬし、ただの猫のくせにワシを呼び捨てるとは。
場合によったら今夜の飯にしてまうど」

「できるかな」
まめ太は、ますます威厳に満ちていく。
手の目は両方の手を高く上げ、まめ太を見た。

「…ぬし、少し大きくなっとらんか」

まめ太は答えず、じろりと手の目を睨む。
「そうか。おまえがこの家の婆様の目を悪くしているのか」

「ふん。よく判ったの。ばさまの目とワシの目を替え事するのじゃい」

まめ太は、やれやれとばかりに身を震わせると縁側から飛び降りた。
「それ、止めないなら、痛い目に遭うけど構わないね?」

「はっはっは、猫ごときが何を言い出すか」
言い捨てると手の目は、突然向かって来た。

「痛い目に遭うのはお前じゃ」
かぁっと口を開き、手の目は掴みかかって来た。
が、すでにそこにはまめ太は居ない。

「むぅ、どこへ行った!」