「馬鹿者。細かいことは言わぬが花ぞよぅ」

名高い陰陽師の光貞に、そう言われては仕方がない。
黙り込む道子に、光貞はそっと囁いた。

「実はバニーガールにしたのは父さんの好みぞよん」
き、貴様、と立ち上がりかけた道子を制し、光貞は式を始めた。

「さぁさ、おふざけはそこまで。いよいよ始めようぞ、賀茂家に伝わる秘儀・星呼ばわり!
玲子、窓を大きく明け放てっ!
道子、見逃すでないぞよっ!」


家族全員が満天の星空を一心不乱に見上げる。

今夜は、ペルセウス座流星群の極大日なのだ。
素人は、流れ星を見ると
「あ、流れ星ぃ♪」などと喜んでしまうが、賀茂家は違う。

余計な言葉は発しない。
ただひたすらに願いを述べるのだ。

しかも、その願いには必ず、細かな個人情報が組み込まれている。

「太陽系第三惑星地球の北半球にある日本国東京都足立区千受曙町ヘの5に在住する賀茂光貞の給料が上がりますように」

通常なら、これを一口に言い放ってしまうのである。


これで流れ星の願い叶え率が当社比で30%はアップするのだ。

しかも、賀茂家の場合、結界を張って願いを増幅している分、より一層強力である。