「ですわ。でね、私をスカウトしよ思て現れた。地雷のセールスを頼むちゅてね。」
あ、もちろん断りましたよ、と激しく手を振り、山崎は話を続けた。
そこからの話は、里美と太陽から束の間、言葉を奪った。
彰宏が心臓を患い、その手術費用を得んが為、山崎が武器商人になりかけたこと。
けれど、それまでに築き上げてきた人の繋がりが彼を助けたこと。
渡米した先で知り合った少年が、アランの息子だったこと。
そして、その少年の心臓が、今は彰宏の命を刻んでいること。
強そうに見えて、里美は涙もろい。人一倍感激家である。
だからこそ大好きな男性を追いかけて、単身アフリカに渡るなどという荒業が使えたのだとも言える。
涙と鼻水が邪魔して一言も離せない里美にハンカチを渡しながら、太陽が訊いた。
「それで、どうして今、会いに行こうと?」
山崎は、先程から頬を緩めっぱなしである。
頑張っている子どもを見るのが大好きなのだ。
愛しそうに太陽を見つめながら、山崎はポケットから写真を取り出した。
何処かの庭だ。
車椅子に乗った金髪の少年が、咲き誇る花に負けない笑顔を見せている。
横に立つのは、彰宏である。
「ショーン。彰宏を救ってくれた勇気ある少年です。
三日後の金曜日、この子の誕生日なんですわ。
そやからね、アランと一緒に祝ってあげようと思って。
奥さんから手紙も預かってきましたんでね」