ブログで怖い話を書いている事を知った人達から、こんなのはどうだと聞かされる事がある。
有り難いやら迷惑やら(笑

これもその一つである。
聞かせてくれたのはA氏だ。
彼の友達のT雄という男の話だ。
T雄の趣味は登山である。
それも、ただ一人で登る単独行を得意としていた。

T山県の県境にある山から帰ってきたT雄が、披露する物があると仲間を集めた。

部屋に集まった皆をゆっくりと見渡し、T雄はリュックから奇妙な箱を取り出した。
その箱には何かの動物の皮らしき物が貼ってある。

「…なんだよそれ」

「んなもん見せる為に俺達を集めたんか」

抗議の声の中、T雄はニヤリと微笑むと説明を始めた。

「西丸震也という作家がな、『人魂を捕まえる』方法ってのを書いてる」

「人魂?」

「そうだ。俺は、T山県境の或る山で人魂を捕まえた。
それがこの箱の中にいる」

T雄はその奇妙な箱をそっと持ち上げてみせた。
「人魂ってのは、物体をすり抜けて通るらしい。
でもな、有機体はすり抜けられないんだと。
だから西丸震也は、飯盒に醤油を塗って即席のカゴを作った。
醤油には麹菌が含まれてるからな」