数箇所に傷がある。
何かに擦れたとか、
木の枝で傷ついた
とは思えない傷
だった。
「石か何かをぶつけた
んだろうな。」
「誰が!?何で?」
「そういう弱い奴が
いるんだよ。
世の中には。」
温かいタオルで、
優しく拭いながら、
俊夫は答えた。
『とうさん怒ってる…』
明子が初めて見る
父の顔であった。
手厚い看護を受け、
汚れていた体は
すっかり綺麗に
なった。
「父さん、この子、
白猫だったんだね。」
「ああ。あんまり汚れ
てたから判らなかった
な。」
「本当ならミルク
みたいな色なのに。」
「うん。よし、決めた。
明ちゃん、母さんは?」
母の恵子が部屋に
入ってきた。
「母さん、あのな」
「お母さん、あのね」
二人同時に話しかけ、
思わず俊夫と明子は
見詰め合った。
「父さん。明子。」
「はい。」
「あんた達ねぇ、
その子がお腹すかして
るのが判らないの?
さっさと用意しなさい!」
「はいっ!」
俊夫と明子は慌てて
立ち上がった。
「お父さん、名前は
なんにする?」
「そうだな。
女の子か…
ミルク。せめて
名前だけはミルクに
しよう。」
「せめて?」
「ああ。多分、この子は
お母さんのミルクの
味をそんなに知らない
だろうから。
名前だけでも、
ミルクだ。」
「まだなの~?」
「やばい。急げ。」
こうしてミルクは、
渡辺家の一員に
なった。
何かに擦れたとか、
木の枝で傷ついた
とは思えない傷
だった。
「石か何かをぶつけた
んだろうな。」
「誰が!?何で?」
「そういう弱い奴が
いるんだよ。
世の中には。」
温かいタオルで、
優しく拭いながら、
俊夫は答えた。
『とうさん怒ってる…』
明子が初めて見る
父の顔であった。
手厚い看護を受け、
汚れていた体は
すっかり綺麗に
なった。
「父さん、この子、
白猫だったんだね。」
「ああ。あんまり汚れ
てたから判らなかった
な。」
「本当ならミルク
みたいな色なのに。」
「うん。よし、決めた。
明ちゃん、母さんは?」
母の恵子が部屋に
入ってきた。
「母さん、あのな」
「お母さん、あのね」
二人同時に話しかけ、
思わず俊夫と明子は
見詰め合った。
「父さん。明子。」
「はい。」
「あんた達ねぇ、
その子がお腹すかして
るのが判らないの?
さっさと用意しなさい!」
「はいっ!」
俊夫と明子は慌てて
立ち上がった。
「お父さん、名前は
なんにする?」
「そうだな。
女の子か…
ミルク。せめて
名前だけはミルクに
しよう。」
「せめて?」
「ああ。多分、この子は
お母さんのミルクの
味をそんなに知らない
だろうから。
名前だけでも、
ミルクだ。」
「まだなの~?」
「やばい。急げ。」
こうしてミルクは、
渡辺家の一員に
なった。