「どなたか、こちらに?」
刑事の問い掛けに、精神科医は小さく答えた。
「一人息子が眠っています…」
「そうですか…先生、私ね、あの後気になって調べてみたんですよ」
並んで歩き出しながら刑事が話し出した。
「先生、あなた…離婚されてますよね」
精神科医は黙って花を見つめている。
「別れた奥さんとの間に、息子さんが一人いらっしゃったとか。
その息子さん、あの男の犠牲者ですよね?」
ジャリッと足下を鳴らし、精神科医が立ち止まった。
「…それが何か?」
刑事も立ち止まり、ジッと精神科医を見つめた。「先生、あんた…最初から救う気なんて無かったでしょ」
「何故です?」
「私ね、耳には自信が有るんだ。あの治療の最中、あなたはこう囁いていた。『ロープを下ろしますからね……
男の目の前に、突然、ロープが降りてきた。
どこからか、声もする。
『ロープの先をよぉくごらん』
見ると、先端が輪になっている。
『あなたが今居る部屋は、あなたの罪悪感が生み出した部屋です。そこから脱け出す為には、一度自分を殺さないと…
さぁ、輪の中に首を入れて…大丈夫、さぁ早く』
男は優しげな声に導かれるように首を入れた。
完へ
刑事の問い掛けに、精神科医は小さく答えた。
「一人息子が眠っています…」
「そうですか…先生、私ね、あの後気になって調べてみたんですよ」
並んで歩き出しながら刑事が話し出した。
「先生、あなた…離婚されてますよね」
精神科医は黙って花を見つめている。
「別れた奥さんとの間に、息子さんが一人いらっしゃったとか。
その息子さん、あの男の犠牲者ですよね?」
ジャリッと足下を鳴らし、精神科医が立ち止まった。
「…それが何か?」
刑事も立ち止まり、ジッと精神科医を見つめた。「先生、あんた…最初から救う気なんて無かったでしょ」
「何故です?」
「私ね、耳には自信が有るんだ。あの治療の最中、あなたはこう囁いていた。『ロープを下ろしますからね……
男の目の前に、突然、ロープが降りてきた。
どこからか、声もする。
『ロープの先をよぉくごらん』
見ると、先端が輪になっている。
『あなたが今居る部屋は、あなたの罪悪感が生み出した部屋です。そこから脱け出す為には、一度自分を殺さないと…
さぁ、輪の中に首を入れて…大丈夫、さぁ早く』
男は優しげな声に導かれるように首を入れた。
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