「ほっほっほ。目の色が変わったの。ええか、これはわしが見つけた
砂金をまとめた物じゃ。まだ、なんぼでもあるぞい。
それをやるから村には手を出さんでもらいたい」

男達は、あっという間に微笑んだ。
「いいだろう。そこまで案内しな。いいか、ふざけた真似しやがると
タダじゃおかねぇからな」

「いいとも。さ、お前は降りなさい」
そう言って、じっちゃんは僕を降ろそうとした。

「おぉっと、そいつぁ出来ねぇな。このガキは人質だ。
爺さん、お前が何か妙な真似をしたら、このガキを殺す」

「判った。ついてきなされ」

じっちゃんは男達のジープを従え、ゆっくりとトラクターを走らせた。
のんびりと口笛を吹いている。
とても綺麗な曲だ。

「じっちゃん、それなんていう曲?」

「これか。これはなモーツァルトって人が作った曲じゃ。
わしの奥さんが大好きだったピアノ協奏曲第23番。
これを吹くと落ち着くんじゃよ」

「おい、爺さん!まだかよ!」

「ほい、慌てなさんな。あの吊橋を渡ったらもうそこじゃ」

前方に長い吊橋が見えてきた。
深い谷に掛かった吊橋は、車一台通るのがやっとだ。

「爺さん、あの吊橋、大丈夫なんだろうな?」

「勿論じゃよ。わしゃ、このトラクターで何度も往復した。
じゃが、車二台は無理かもしれんなぁ。
どちらかにまとめて乗った方がいいじゃろう」