念の為、焼いたポーチ
は外には捨ててない。
自宅の広い敷地内の
方が余程安心だった。
敷地内にある植込み
の中に埋めた。
絶対に大丈夫だ。
焼いたポーチから
飼い主の臭いがする
わけがない。
あの犬を連れてきて
も構うもんか。

松田は屋敷の中に
立ち入って驚いた。
広い。やたらと広い。
この中にポーチを
隠されたら絶対に
判らない。

松田は、協会から
借りてきたハーネス
をラックに装着した。

「ラック、この
ハーネスを覚えて
るか。
お前の大事な人が
使っていたやつだ。
仇を討つんだ。ラック」

もちろん、盲導犬の
ラックに警察犬のような
匂いの追跡ができる
筈は無かった。
だが、松田は停職覚悟
でラックを現場に連れ
込んだ。
一か八かの賭けだった。