「上手く出来たな」
克実のその言葉が悦子をとろかせた。

熱っぽく克実を見る悦子は、その時、とんでもない失敗に気付いた。

「あ!待って、まだ食べないでっ!」
悲鳴をあげて克実を止める。

「…何だよ」

「ケチャップを忘れたわ!ケチャップケチャップケチャップ!」

バタバタと冷蔵庫に向かった悦子が悲鳴をあげた。

「嫌だ、ケチャップが切れてる!」

「いいよ、ケチャップぐらい」

「ダメ、少しだけ待ってて。すぐ買ってくるから」

あ、おい待てよ、と呼び止める克実を無視したまま、悦子はスーパーに向かった。

息を切らし、帰宅した時には既に料理は冷めていた。

「ったく…ケチャップぐらいどうでもいいだろが」
克実が見る間に不機嫌になる。

テーブルを激しく拳で叩いた。
「だいたいな、おまえはネチこいんだよ!もうウンザリだ。ちょ、金貸せよ!スロット行くからよっ!」

「え?だってオムレツ…」

抗議しかける悦子の頬が思い切り殴られた。

「ひぃっ止めて、もう、もう手は出さないって言ったじゃない!」

「るせぇよ。さっさと出せよ」

有り金残らず浚うと、克実は出て行った。
手つかずのオムレツが残った。
四へ