翔大は、おむつすら当てっぱなしである。
弱々しく泣き、痛みを訴えるが雅樹にはどうする事も出来ない。

思いついて、おむつを外し、濡れたタオルで翔大を拭き清めた。

紙オムツの買い置きすら見当たらない。
雅樹は自分の下着を翔大に履かせ、その中にタオルを詰めた。

ようやく翔大は泣き止み、疲れ果てて眠りについた。

空腹を抑え、雅樹もまた失神するように眠りについた。

夢の中で、母親が笑顔で遊んでくれた。


母親は、この幼い兄弟を殺してしまおうと家を捨てたのだが、雅樹には知る由も無い。

ただひたすらに待つしか方法が無い。

日頃から近所付き合いの悪い母親の為に、彼ら兄弟の絶望的な生活を気にかける者とて無かった。
空腹をこらえきれずに雅樹は目を覚ました。

翔大もまた、目を覚まし、空腹を訴え泣き始めた。

その体を抱きしめ、雅樹は、まわらぬ口で子守歌を歌った。

「ねんねんころりよ、おころりよ」

母親が時に気まぐれに歌った歌であった。

「ごめんね、しょうちゃん…にいちゃん、しょうちゃんをまもってやれそうもない」
夢うつつで雅樹は謝り続けている。

二人に緩やかだが、絶対的な死が訪れようとしていた。