新居田は飼い犬のテリ-の吠える声に起こされた。

「うおーい。誰か居ないか。客らしいぞ」

久しぶりの休日、ゆっくりと寝かせてくれと
家人には頼んでいたのだ。
それが返って災いした。
家の者は皆、朝から出かけてしまったのだ。

「くそ」
舌打ちが漏れる。
新居田は重い頭を抱え立ち上がった。
頭が重いのは疲労のせいだけではない。
昨日、指名手配中の殺人犯がようやく検挙され、
労いの為に、部下と痛飲した。
久しぶりの酒は思いの外、新居田を酔わせたのだ。

テリ-はまだ吠えている。
来客に間違いない。

「うるさい。判ったから静かにしろ、テリ-」
怒鳴りながら玄関の扉を開ける。
そこに居たのは部下の宮城であった。

「すんません、朝っぱらから」
恐縮しきっている。
機嫌の悪い時の新居田が、どれほど恐ろしいか
熟知しているのだ。

ニへ