乱蔵の自転車に細く長い影が絡まっている。
妖しの気配がする。
それほど危険な妖しでは無いようだ。
放っておいても、乱蔵には危害を与えることは
出来ないだろう、イブはそう結論を出した。
少々の妖しのものなら、乱蔵の生命力に弾かれてしまう筈だ。

(そうだ。これは使えるかも…)

「まめ太。ちょっと来てくれないか」

「はい、先生っ!」
まめ太は懸命に出窓へ駆け上がった。
最近、ようやく出来るようになったばかりだ。

「なんですか、先生」

「あれ見て。まめ太」
イブは尻尾で乱蔵を指し示した。
「見える?」

まめ太は息を呑んだ。
「先生、あれは…大変だ、すぐに退治しないと」

まめ太が先生に詰め寄っている間に、乱蔵は
あっという間に走り出した。

「あぁっ!先生、急がないとっ!」

「ところがね、まめ太。私は綾さんのガードに行かなければ
ならないのだよ。そこで、だ。まめ太。君が助けてあげて
欲しい。」
まめ太は驚いて出窓から落ちかけた。

三へ