山崎は何も言えず、下をうつむいていた。床にポロポロと涙の粒が落ちる。

「そうだな、うん、そうだよな」

「お金の事は、みんなで考えましょ。知り合いがネットにも掲載してくれたわ。PTAも婦人会も一緒にチラシまきを手伝ってくれてるし。あなた一人が頑張ることはない」

うん、うんと頷く山崎に彰宏が抱きつく。

その時、病室のドアがノックされ、老人が入ってきた。

「邪魔するぞい」

山崎は、その老人に見覚えがあった。

「あなたは和菓子屋の…」

「そうじゃ。山崎はん、あんた水くさいの。何故、相談してくれん」

山崎にチラシを突きつける。

「あんたに助けられて、どれほどわしは嬉しかったか。今度はわしの番じゃ」

老人が山崎に通帳を渡す。

「百万しか入っとらんが使うてくれ」

「しかしこれは」

「わしだけじゃない。外を見てみなさい」

山崎と春海と彰宏は、窓から下を見た。
「これは…なんですか」


窓の外に人が溢れている。

見た顔もそうでない顔もある。

「みんな、あんたから幸せをもらった人達じゃ」
老人が後ろから話し掛けた。


「少しでもいいからあんた達家族を助けたいと集まってきたんじゃ」

八へ