五人は、小さなテーブルを囲んで座った。
「本当にこんな息子でいいんですか、お嬢さん」

「もちろんです。よろしくお願いします、お母様」

「まぁまぁお母様ですって。お母様。ああ、なんて素敵な響き」

美紀が絶妙のタイミングで横から口出しをした。
「ところがですね、お母さん。慎太郎さんは成美ちゃんと
結婚できないって言うんです」

どうやら、久美子はおとなしく見えて激情家でもあるらしい。
いきなり、慎太郎の頭を叩いた。
「こ、この馬鹿息子がっ!こんな素敵なお嬢さんに
なんて罰当たりなことを言うのかしら!」

「待って、待てってば母さん」

「何がよ、理由を言ってみなさい、馬鹿息子」
「父さんのことだよ」

ピタリと手が止まり、力なく久美子はうつむいた。
静香は、自分の身の上を明かし、今までの事情を説明した。
「このままでは、若い二人に取り返しのつかない傷が残ってしまいます。
慎太郎さんのお父様、子どもを捨てるような人では無いですよね。
お聞かせ願えませんか、久美子さん」

うつむいたままの久美子が、顔を上げた。
何かを振り切るように深く頷くと、久美子は話し始めた。
「そちらの方が仰る通り、私の兄は子どもを捨てるような人間では
ありません。目に入れても痛くないってのはこのことねと
笑われるぐらい、あなたを愛してたのよ、慎太郎」