「佐藤さん、良いことがあります。今から帰って、
娘さんと彼氏をこの店に連れてこられては」

「…ええのんか?」

「かまいません。その方が佐藤さんもリラックスできるでしょ。
それに志乃ちゃんの彼氏がどんな方か、私も気になる」

そやそや、そうしとき、と他の常連達からも声があがった。
気の早い奴はテーブル席を掃除し始めている。

「…そうする。いや、そうさせてくれ。熊さんと
奥さんが認める奴なら間違いないわ。
娘、くれてやる」

てっちゃんに肩をかりて、ヨタヨタと出て行くさとやんを
見送り、熊はつくね串の用意をし始めた。

酒は杉錦の大吟醸。
かなりレアな酒であるが、大事な席には相応しい。
熊は満足気に大きく頷いた。

「連れてきたで」
さとやんが暖簾から顔を出した。
さっきまで呑んでいたくせに、なんだか青ざめた顔だ。

てっちゃんが「ささ、こちらへ」と後ろの二人を案内している。
三へ