今日も暑くなりそうだ…アランは早くも汗を滲ませている。
白い肌は既に何度も日焼けして皮が剥けた。
現地に向かいながら、アランはいつの間にか、息子が
好きだった歌を口ずさんでいた。
現場近くまで来た時、それが目に入った。

よちよち歩きの幼児だ。
発見されたばかりの地雷地帯に向かっていく。
『危険地帯』の旗を立ててはいるが、幼児にそんなものが
読めるはずがない。
アランは全力で走った。
潅木で傷だらけになりながらも走り続けた。

「間に合った。さ、おいで坊や」
そっと手を伸ばした。

幼児はニコニコと笑いながらアランに近づいてくる。
「そうだ、いいぞ。もう少しだ、そのまま真っ直ぐ来い」
幼児は脇目もふらずに近づいてくる。

「そう。その調子でおじさんの所へおいで。
真っ直ぐ。真っ直ぐだよ」

村人達も固唾を飲んで見守る。
あともう少しで手が届くと思われた時、
アランが突然悲鳴をあげた。
ふらついて倒れかけた幼児の足元に地雷が見えている。

「だめだ!くそっ!」
アランは幼児を抱きしめようと身を投げ出した。
その途端、彼の世界は轟音と共に暗闇に変わった。

九へ