「福やん、この糸噛み切ってっ!早くっ!」

慌てて駆け寄り、糸を噛み切る福。
なんとか先生は自由になった。
杉山のもとまで、這っていく。
肉球を杉山にあて、先生は念を込め始めた。
すでに余力は残っていない。
それでも先生は止めようとしない。

徐々にカラスの傷が回復していく。
だが、それに伴い杉山の霊体は、消えかけている。

「ぎりぎり間に合うかもしれない。杉山さん、いくよ」

肉球の光が白色に変わり、カラスの体を包んだ。
杉山の意識だけを天国に送る。

そして、杉山の意識はカラスから離れた。
カラスは、今、自分が何故ここに居るのか
解らぬふうである。
一つだけ、羽ばたくと空に舞った。



「今日はカー吉来ないわねぇ?」
真也は、母親の言葉が聞こえぬかのように、
夢中になって、玩具で遊んでいる。
最終へ