「でね、これじゃいかん、手ぶらで帰るわけにはいかねぇ、と
周りを見回すと屋台の薬屋があったんだよ。
小さな貝殻に詰めた傷薬を売っている。
それが丁度、五銭だった。こいつぁいいや、と買って帰って
お袋様にあげたんだよ。」
源兵衛も箸を止め、すこぅし上を見上げます。
「お袋様、えらく喜んでね。畑仕事やご近所からの内職仕事で
荒れた手にその傷薬をね、少しずつ塗っては大事そうに片付ける。
また少し塗っては神棚に上げる。
見ているうちにわたしゃあ、ボロボロと泣けてきてねぇ。
なんでもっと早く帰らなかったんだろう、もっともっと
良い物を買ってあげれたのに、って
悔やんで悔やんで仕方が無かった」
これがその傷薬だよ、と源兵衛は袂から小さな貝殻を取り出しました。
源兵衛は、しみじみとその貝殻を見つめております。
丁稚達の間からすすり泣きが聞こえてきました。
周りを見回すと屋台の薬屋があったんだよ。
小さな貝殻に詰めた傷薬を売っている。
それが丁度、五銭だった。こいつぁいいや、と買って帰って
お袋様にあげたんだよ。」
源兵衛も箸を止め、すこぅし上を見上げます。
「お袋様、えらく喜んでね。畑仕事やご近所からの内職仕事で
荒れた手にその傷薬をね、少しずつ塗っては大事そうに片付ける。
また少し塗っては神棚に上げる。
見ているうちにわたしゃあ、ボロボロと泣けてきてねぇ。
なんでもっと早く帰らなかったんだろう、もっともっと
良い物を買ってあげれたのに、って
悔やんで悔やんで仕方が無かった」
これがその傷薬だよ、と源兵衛は袂から小さな貝殻を取り出しました。
源兵衛は、しみじみとその貝殻を見つめております。
丁稚達の間からすすり泣きが聞こえてきました。