その朝、つくね家は不穏な空気に包まれていた。
当主である乱蔵が見当たらないのだ。

「ねぇ、お父さん知らない」

「え?お母さんも探してるの?あたしもさっきから探してるんだけど…」

「おとうさん、おでかけしたよ」


「あらま。若様、どこへ行くか言ってた?」

「えぇとね、テレビみてて、よっしゃあーおれのでばんやぁーって」


「お母さん、置き手紙があった」


「どりゃどりゃ…『江戸に行く。五千万ゲットや!!』…なにこれ」


こうして、乱蔵は姿を消した。

次に現れたのは三日後であった。

「たらいまぁ」

「お母さん、父さんの声がした」

「あの宿六、今まで何処をほっつき歩い…きゃあっ!」


「どうしたの、お母さん…わぁっ。パ、パンダがいるっ!」


落ち着け。俺や、父や。これは毛を白く染めただけや

「な、なんでそんな酔狂な真似を」

いや、リンリンが亡くなったやろ?
で、中国に新しく頼むと、レンタル料がな、つがいで一億円!
さ、そこで俺は知恵を出しました。
つがいで一億なら、俺がパンダに扮装したならば五千万や。
な?

「……あほ」

「父さん。あなたって人は…」


でもオーディションは受かったんだよ

「ええっ!」

書類選考も、筆記試験も、水着審査も。

あと、得意な芸とかも最高点だった。
ちなみに、玉乗りしながら『千の風に乗って』をビヨンセの真似で歌った

「だったら五千万?」


や、ところがだな、
結局辞退してきた。
純真な子ども達を騙すのは心苦しいし。






これからビールが美味い季節なのに飲めないし。