◎ゾンビ

エレベーターの扉が開いた。

何十ものゾンビが廊下に溢れていた。

ぐろぅぅるぅぅ~などと吠えながらゾンビ達はエレベーターの中になだれ込んでくる。

奴らは、先を争って私を喰らおうと手を伸ばしてきた。

ああ、なんとか此処まで逃げてきたが、最早これまでかと諦めかけた時。
定員オーバーのブザーが鳴った。

ゾンビ達はお互いを指差して呻き声をあげている。

お前が降りろとでも言っているのであろう。

誰も降りようとしない。
「仕方ないな、私が降りますよ」

そう言って私は、無事に脱出した。




◎時刻表

エレベーターの扉が開いた。

そこには砂漠が広がっていた。

空間と空間を結ぶエレベーターが発明されたのが二年前。
旅行は生活の一部になり、旅行会社は軒並み倒産した。

今日、私は昼休みを利用して北京に向かった。

昼飯は本場の中華料理と洒落込むはずが、何ということだ、目的階のボタンを押し間違えたらしい。

仕方ない、一旦、日本に戻るか…
このままでは蒸し焼きになってしまう。

呼び出しボタンを押そうとして、その文字に気づいた。

時刻表だ。

次の停箱は5日後だった。



◎目的階

エレベーターの扉が開いた。

これに乗って屋上へ向かう。
ビルの外は晴れ渡った秋空だ。

飛び降りるには丁度良い。
頭痛が無ければもっと快適なのだが仕方ない。

中に乗り込んだ私は、Rと書かれたボタンを押そうとして戸惑った。

Rボタンの上にHと書かれたボタンがある。

痛む頭でもこれぐらいは判る。

ははぁ、ヘリポートか。ならばそちらを選ぼう。
扉が施錠されていたら、その時は戻ればよい。

迷わず押す。

24 25 26

次は屋上だ。
エレベーターはまだ昇っていく。


もう何時間経ったのだろう。
エレベーターはまだ止まらない。
上がっているのか下っているのかさえ判らなくなってきた。


ああ、ようやく思い出した。
私は既に飛び降りた後だった。
頭が痛むのも当然だ。

パックリ割れているのだから。

恐らく、このエレベーターは霊魂専用機なのだ。

H階か…

HEAVENかHELLか、どっちだろう。



エレベーターの扉が開いた。