「すまなかった、あれはだな、ちょっと肉料理をしているのだよ。
五右衛門風呂の釜本来の使用方法だ。村の祭に使う
豚汁を煮込んでいるのさ」

「豚汁?良いのですか、そんな物に大事な釜を使って…」

「なに、構わんさ。使ったあとはまた、磨き砂で綺麗にすれば良い」

津川君、先ほどの台所を思い出した。
「あ、なるほど。それでさっき包丁を使ってらしたんですな」

「いかにも。包丁を使う必要が無いぐらい柔らかく煮えてるのだがな、
そりゃもう凄いよ。持ち上げただけで、骨と肉がバラバラだ。
元の姿なんか誰にも判りゃぁしない。
さすがに五右衛門を煮ただけの事はある」

持ち上げただけで、骨と肉が離れるぐらいに柔らかくなる…
津川君の心底に何やら黒い雲が湧き上がる。
骨と肉ね…さっき、先生が生ゴミ処理機に入れてたのは
肉の塊だったよな。
あれ、ホントに豚肉か…?


六へ