あった。
彼の名前が、斉藤真由加の名前と並んでいた。
彼女の想いと一緒に刻んであった。

「なぁ、斉藤さんて今、どこに居るんだろ?誰か知らないか?」
「お母さんの故郷へ帰ったって聞いたけど
…確か岡山県の白者村、とか言ったかしら。」

タイムカプセルを閉じ、皆もまた、オヤジとおばはんに戻る。
林田も日常に戻った。

出勤していきなり、彼は部長に呼び出された。
「林田君、急ですまんが週末から出張してくれんか。」

「はぁ。どちらですか?」

「えぇとな…岡山だ。そこにある山を開発する話が
持ち上がってな。」

「土地、ですか。私の担当分野ではありませんが」

「向こうの地主さんからの要望なんだよ。
なんでか知らんが、君を名指しだ。
白者村の斉藤さんという名前に聞き覚えは無いか?」

林田は、しばらく言葉を失った。こんな場所で聞くには、
あまりにも意外な名前である。
「…白者村の斉藤、さんですか。
心当たりがあります。判りました。
行かせてもらいます。」

仕事自体は、単純な契約書の提示と確認であり、林田でも
可能な作業であった。

何故今ごろ、斉藤と言う名前が出てきたか。
そして、この会社に自分が居ることを知っているのは何故か。
林田は、どうしても答を思いつけなかった。

だが、そんな疑問も彼女に会える喜びの前では些細な事であった。