失血が酷い。
早く病院へ行かないと、このままでは失神、悪くすれば
出血多量で死んでしまう。
美穂は己の頬を思い切り叩くと、陽一の手を引き、
自宅に戻った。一階に降り、スペアキーを見つけた。
常日頃、ゴキブリを退治していたことを今日ほど感謝したことはない。
とりあえずは、この家にいれば安全ではないだろうか、
美穂の甘い期待は脆くも敗れ去った。

壁一面に蟻が這っている。
大きく舌打ちをし、スペアキーを持ち、二階へ向かった。
ベランダから屋根伝いにガレージの近くまでは行ける。
だがそこからは、飛び降りなければならない。
今の自分の傷ついた足でそれが可能だろうか。
とにかく行くしかない。
少しづつ、慎重に屋根を進む。
血で足が滑る。
何度も落ちそうになりながら、美穂と陽一はようやくガレージに
たどり着いた。
幸い、ガレージの入り口は開いている。
エントリーキーを押し、ロックを解除。
エンジンもスタートさせる。
後は乗り込むだけだ。