狼男になった夫には
銃は効きません。

狼男を倒せるのは銀の
弾丸だけなのです。

村長がその事に気づき
村人を集めました。

けれど貧しい村に
銀製品など有る筈が
ありません。

頭を抱えた村人の前に
妻が現れました。

「…これを使って
ください。」


妻の手には、夫が
贈った銀の指輪が
ありました。


「いいのか、奥さん…」


「夫は家を出る時に
これを私の手に握ら
せていきました。
覚悟はできていると
思います。」


二つの銀の指輪から、
一つの銀の弾丸が
できました。

次の満月の夜が来ま
した。

狼男に変身した夫は
静かに村に入って
きました。


そうして、村長が
構える銃の前で立ち
止まりました。

銀の弾丸が胸を貫き、
夫は元の人間の姿に
戻り、仰向けに倒れ
ました。

妻の手を握りしめ、
夫は最後に何か言おう
としましたが、言葉
にはなりませんでした。

そうして、村人達が
止める間も無く、
妻も自分の咽を突いて
夫の後を追いました。


村人達は、銀の弾丸を
もう一度指輪に戻し
二人の墓に備え、
いつまでも大切に
供養したということ
です。