炊きたてのごはんをだんごに丸めて、鶏肉やせりと一緒に煮込んだようだ。

「これ…だまこ鍋?」

枝里子の何気ない一言に熊が驚く。
「あれ。枝里子さん、秋田の人?」

うん、と頷き、枝里子は箸を持った。
一口食べた枝里子の瞳から涙がこぼれて落ちた。

「枝里子…さん?どうかした?熱かった?」

心配そうに訊く熊に枝里子は慌てた。
「違うの。ごめんなさい、すごく懐かしくて。
母さんが…よく作ってくれたから。
思い出しちゃった」

最後の一滴まで汁を飲み干す。
「しばらく帰ってないからなぁ…ありがとう、熊さん。
なんだか故郷へ帰った気がしたよ」

熊は、その大きな目で枝里子をじっと見つめた。
「帰らないんですか?故郷」

「はは、帰れないのよ。っていうか、帰る時期を
見失っちゃった。最後に帰ろうと思ったの、いつだったかな…」

七へ