車は、山道を進み、小高い展望台に出た。

「あっちだ」

ママさんは車を降りると、駐車場の右端に歩いて行く。
その手には、美しいナイフが握られている。

ママさんが立ち止まった場所は、何かが焼け焦げた跡があった。

「ここ」

ナイフを振りかざすと、魔を断つように、二、三度空間を斬った。

「むぅ…あんた達、離れてなさい。しばらく、ここから離れて。互いに手をつないで。」

「な、なんすか?!何かあるんすか」

ママさんは、見た事が無いような厳しい顔で答えた。

「元々の始まり。ここで焼身自殺した女。未練を残したまま、さ迷う内にその車に取り憑いた」


ママさんがナイフを振るう度に、地面に染み着いた焦げ跡が、ぐぐっと盛り上がってくる。

芳雄だけが見えている。「黒い頭がっ!」

悲鳴をあげるのだが、他のメンバーには、何が何だか判らない。

頭に向けて、ママさんは聞き取れない言語で激しく叱りつける。

黒い頭は、しばらくは抵抗するように震えていたが、やがて諦めたようにまた焦げ跡に沈んでいった。


ママさんは、びっしょりと汗をかいていた。

「これでどうにか終わり」