俊輔は、その唇に触れることなく倒れてしまった。

「俊輔っ!」
額が熱い。ブルブルと震えている。

「俊輔、頑張って。立って。お願い、俊輔」
だが、俊輔は意識障害を起こしている。

「くっそー、ボキンちゃんをなめるなよっ!うおぉぉりゃぁぁっ!」

里美は、俊輔の体をその小さな背中に背負い、街に向かった。
ダラダラと流れる汗が目に入る。
いつの間にか、大声でボキンちゃんのテーマを歌っている事にも気付かない。

その歌声に驚いた村人が一人出てきた。
俊輔の顔を良くしっている村人であるのが幸いした。
二人は村人の車に乗せてもらい、どうにか街の病院へ到着した。

「この人、マラリアかもしれないの、早く、一刻も早く検査して!」

里美の必死の願いを嘲笑うように、医師が答えた。
「どんなに急いでも、結果は1週間後だよ。ジャポネゼは体が馴染んでないからね、
ちょっと熱でも出ただけじゃないのか?」

熱帯熱マラリアだとすると、1週間も待っていると生命の危険がある。
その事を里美は良く知っていた。
渡航する前に、出来るだけの知識は学んできたのだ。
マラリアの検査は実際始めれば短時間で済むことも判っていた。

最終へ