燕は、死体から毛髪を引き抜いて巣にしたのだろう。

ということは、我が家の軒先には死体の髪の毛がぶら下がっているわけだ。
すこぶる困ったものだが、折角作った巣を壊してしまうのも忍びない。

何日か迷っているうち、雛が孵ったらしく、チィチィと餌を求め始めた。
その後、何週間か雛は鳴き続け、ある朝巣立っていった。
後に残されたのは、空になった巣だけだ。

これで心置きなく取り壊せる。
箒で叩き落としたそれは、やはり人毛であった。


来年の燕も、巣作りに困るかもしれない。

時期が来たら、また一人、殺しておくか。
なるべく長い髪を持つ女にしよう。
今から楽しみである。