「懐かしいのぉ…わしゃこのベーゴマが大得意での」

そのコーナーには、ベーゴマが出来るような場所も設置してある。
直美にせがまれた磯部は、さっそくベーゴマを回した。

「すごい。すごいですよ、磯部さん。なかなか回せる人居ないのに」

「なに、まだまだこんなもんでは無いぞ。ほれ、二つ同時回し。
続いては先のコマの上に、もう一つ乗せてしまう。はは、まだまだ
腕は落ちておらん」

次から次へと多彩な技を繰り出す磯辺の廻りに、いつしか子供達が
集まってきた。

「すげえ。この爺ちゃん、すげえぞ」

「ほんとだ、ねぇ、爺ちゃん。どうやったらそんなの出来るの」

子供達に囲まれて戸惑う磯辺に、直美は微笑みかけた。
「ね、磯部さん。ベーゴマの必殺技、お孫さんへプレゼントして
あげたらどうですか」

「ベーゴマの必殺技…はは、なるほど。そうか、それが
あったか。ありがとうな、お嬢さん。
すまんのう、爺ちゃん、ちょっと急ぐんじゃ。
また必ずここに来るから、今日は勘弁してくれるかの」
子供達と約束を交わし、磯部はベーゴマのセットを購入し、
家へ急いだ。

おわりへ