「凄い。湯浅、これもお前が見つけたのか」

「いや違う。俺の内縁の妻の地所だ。チベットに一緒に行った。」

ははぁ、なるほど。奴の金回りの良さはその為か。
私は益々乗り気になった。
今回は損だけはしないと判ったからだ。
元金の回収ぐらいは確実に出来るだろう。
それにしても寒い。
「やけに寒いな」

「かなり広い天然の鍾乳洞だからな。良かったら飲むか」

バッグから水筒を取り出した。

「紅茶だ。ここは寒いからな、いつも持って入る」

えらく気が効くものだ。
奥さんが出来るとこうも違うらしい。

温かい紅茶を啜りながら、私は胸の内でニヤついた。

甘かった。

いや、紅茶のことではない。

私の考えがだ。

紅茶を飲み干した途端、私は猛烈な眠気に襲われ、立っていることが出来なくなった。


薄れていく意識の底に湯浅の笑い声が刷り込まれて行った。



目を覚ました時、私の体は縛り上げられていた。
「起きたか」
湯浅がのんびりと言った。

その顔を睨みつけ怒鳴る。
「すまんが、俺にはこの手の趣味は無い。一度だけ言う。
今すぐ下ろせ!」