三人でベッドの上にねる。
いつもは、夜中に必ず怯えて目覚める麻美がすやすやと寝息を立てている。
隆司は何か面白い夢でも見ているのか、時々笑った。
幸一は、二人のその様子を見ているうち、眠ってしまった。
初めてと言って良いぐらいの安らかな夜だった。

こうして三人だけの生活は始まった。
幸一は次の日、万引を兼ねて、元居たアパートの近くをうろついてみた。
驚いた事に、両親とも三人が居なくなったことを何一つ心配していないようである。
父親に似た鬼と、母親の格好をした悪魔は今からまた、
パチンコ屋に行くようであった。
幸一はその姿を見届けてから、合鍵でアパートに入り、持ち出せなかった
教科書を袋に詰めた。幸一は、隆司に勉強を教えるつもりだった。

アパートを出て二人の待つ家に帰る。
隆司は飛び上がって喜んだ。学校に行きたくて行きたくて、
でも行けなくて、毎日教科書を見て過ごすしか無かったのだ。
隆司は幸一の教えることを一つたりと、聞き逃すまいとした。
その横では麻美が同じようにテーブルに向かっている。
ただし、書いているのはお人形さんの絵だ。


六へ