任せなさい。
どんと胸を叩いて、いぶは鯖のノルウェー風を作り始めた。

「きぃちゃん、ウスターソース!」

「おぃっす」

「トマトベースも」


威勢の良い掛け声が響き、みるみるうちに美味しそうな鯖のノルウェー風が出来上がっていく。

「よし、完成っ」

満足気に見渡すいぶ。
給食当番の生徒達がやって来た。

「あ。僕、これ大好きやねんっ!」
子供達の歓声が何よりのご褒美だ。

その時だ。
黒服の団体が、血相を変えて調理場にやって来た。

「き、今日の調理師は誰だねっ!」

いぶがズイと前に出る。
びしぃっと人差し指で黒服達の足元を差す。
「申し訳ありませんが、そのラインからこちらへは入らないでください。
衛生上で言いますと、あなた方は『不潔』な存在ですから」

毅然とした態度のいぶに、黒服の代表者が怒鳴りつけた。

「貴様か、責任者は。どういうつもりだ!
これは明らかに『鯖のノルウェー風』だろうがっ!」

人を恫喝する事に慣れた口振りだが、いぶは冷ややかに唇の端で笑うだけだ。

「何がおかしいっ!」

さらに激高する黒服の鼻先に、いぶは一枚の紙を突き出した。