嫁はんがおむすびを
持たせてくれた。

彼女のおむすびは、見た目が大変に良い。

それは、一つ一つの
大きさが見事なまでに
揃っているからだ。
食べる相手を頭に
浮かべ、丁寧に結ば
ねばこうは行くまい。

そのおむすびを見て
いたら、佐藤初女と
いう女性を思い出した。

佐藤初女さんは岩木
山麓にある『森の
イスキア』という
場所で、訪れる人の
疲れた心を救って
おられる。

けれども彼女がする
のは、真っ直ぐな料理
を作る事のみ。

料理の素材を大切に
使い、一生懸命に
作る事が『生きる』
意味を教えてくれる
のだ。

彼女のおむすびを
食べた青年が自殺を
思いとどまった事も
ある。

拒食症の少女は、
出された料理全てを
平らげたという。

魂に響くのであろう。


俺は嫁はんの作る料理
が大好きだ。

どんなに疲れて帰った
日も、彼女の料理は
俺に命を吹き込んで
くれる。

彼女の料理を食べて
いる限り、俺は負け
ない。