「あぁ。もう一度言う。帰りなさい」

男はそう言うと立ち去った。

後に残された若者達は互いに顔を見合った。

「どうする」

「行くよ、せっかくここまで来たんだから」

「でも鍵が…あれ?」

鍵はかかっていなかった。
それどころか、鎖その物が見当たらない。


「あのオヤジ、脅かしやがって…」

「夜中にさ、バカな小僧とか来るから迷惑なんじゃねぇの?」


「俺らがそれなんだよっ」

ふざけ合いながら囲いの中に足を踏み入れた。

その途端、一瞬だけ寒気が襲った。

それだけだ。
結局、塚で出会った怪異はその寒気だけだった。

「なんだよ、つまんねーの」

口々に文句を言いながら囲いから出てきた若者達を先程の男が待っていた。
手に鎖を持っている。


「あんたら、中に入ったか」

「あぁ。何とも無かっぜ。ちょい寒かっただけだ。」

「寒かったか。そうか」
男は哀れむように若者達を見廻し、手にした鎖を囲いの出入り口に掛けた。

大型の南京錠がカチリと閉まった。
最終へ