その時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。近所の住民が喧嘩と間違え、通報したのだろう。
今まで警察官を見て、これほどホッとした事は無かった。

この機会を逃したら
あかん、俺は咄嗟に表札を外した。
それは画用紙を画鋲で留めてあるだけの代物だった。
その画鋲で思い切り手を引っかいた。
血がダラダラと流れる。

「どうしました。喧嘩してると通報が
あったのですが。」
「違うんです、この女がいきなり襲ってきたんです。見てください、この傷。」

そう言って俺は手を見せた。

「こりゃひどいな…あなた、ちょっと話聞かせて」

警官は、相変わらず獣のような唸り声を出す麻理子を半ば引きずりながら、パトカーに乗せた。
二、三分後。パトカーの中から警官の悲鳴が聞こえた。

へへ、あの包みを開けたな…

転げ落ちるように飛び出してきた警官が俺に言った。
「あとであなたの説明も聞くから。
とりあえずあれは連れていく。」
「何があったんですか?」

「…死体遺棄の容疑だ。」

その後、麻理子は俺の前から消えた。
どうやら処置入院されたらしい。
詳しい事も聞けず仕舞だ。
とにかく、俺の戦いは終わった。

あの香りは今でも売られている。