「イブちゃん、福ちゃん、もういいわ。ありがとう。」

二人の頭を優しく撫で、カミラがジャックに近づいていく。
ブラッキーも後に続く。

「カミラさん!どうするつもりだ!」

カミラはジャックに微笑んだ。

「判りました。あなたと共に行きます。だから、この二人には手を出さないで。」

「うむ。ようやく判ってくれたか。さぁ、この胸に抱かれるが良い。」

ジャックの胸に抱かれ、目を閉じるカミラ。満足げにその金髪を撫でていたジャックの顔が苦しげに歪み始めた。


「くそ!こいつ、何をしたっ!?」

カミラの体に裂け目が出来ていた。
その裂け目にジャックが吸い込まれようとしている。
微笑むカミラの手には、次元ナイフが握られていた。

「私の体その物に穴を開けました。あなたを取り込み、旅立ちましょう。ブラッキー、おまえはここに残りなさい。」

ブラッキーは初めて主に背いた。カミラの足元に伏せたまま動こうとしない。

カミラは愛しげにブラッキーの背中を撫でた。「ばかな子。ありがとう。さぁ、行きますよ。ブラッキー。」

カミラが己の周りをナイフで切り取った。足元に黒く穴が開く。

「イブちゃん、福ちゃん、ありがとう。あなた達の事忘れない。綾ちゃんには…帰国したと伝えて。」

「カミラ、いや、エリーさん…」


「ありがとう。イブちゃん、その名前で呼んでくれるのね。」

「ブラッキー!元気でいろ!また、一緒にソーセージ食うぞ!」

福の呼びかけに、ブラッキーは尻尾を高く上げ、先を少し曲げた。

エリーとブラッキーは穴の中に入った。穴は二人を飲み込み、ジッパーのように徐々に閉まっていく。

そして消えた。


「行ってしまった。ブラッキーめ、最後まで格好つけやがって…」


福は困った顔になっていた。

泣いているようにも見えた。