「オバサン預かっとくからさ、金おろして来いや」

「そりゃいいや。行って来い」

その声に押されるように健二は動いた。
が、車に向かってではない。
少年達の中に割って入ると、典子の手を握り締めて逃げようとしたのだ。

「おぉっと、逃げんなよ」

背中を強く押され、健二は典子を抱えたまま倒れ込んだ。
そのまま健二は、亀のように典子に覆いかぶさった。

耳元で囁く。
「ちょっと辛抱してくれ」

健二のその姿を見て、少年達は逆上し、二人に襲いかかった。

健二の体に爪先が埋まり、拳がめり込む。
その度、健二は小さく呻いた。

「あなた、あなた大丈夫?!もう止めて、誰か助けてっ!」

店員が通報したらしく、パトカーのサイレンが聞こえてきた。

「やべ」

「ふけんぞっ!」
少年達は散り散りに逃げ出した。

後に残ったのは、傷だらけで呻く健二と泣き叫ぶ典子だけであった。

「あなた、なんでこんな無茶したのよ!」
問い詰める典子に健二が途切れ途切れに答えた。

「ん?…だっ…て、おまえ…は俺の…奥さんだから」

典子は声を失い、健二を抱きしめた。

「あ、そう…だ、これ…」
健二の手には、DVDが握られていた。

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