白い人型に抜いたように
麻理子はそこに居た。

俺は目を逸らす事ができなかった。
七曲目の頭に暗転があり、
次にステージが明るくなった時には、麻理子は居なくなっていた。

ステージを終え、楽屋に戻る途中、俺はボーカルのMに訊いた。

「なぁ、右側の壁んとこに白い服の女がいなかったか?」
「え~?知らないよ~。良い女?」

「いや、見てへんのやったらええねん…」

楽屋に入ったMが言った。
「乱蔵。なんかあるよ」

俺専用のギタースタンドに、コンビニの袋が掛かっていた。
「何これ?」

開けてみると、中身はペットボトルとおにぎりだった。

「差し入れか?」

俺はペットボトルの蓋を開けようとして気づいた。

開いてる。

中に何か浮いてる。

髪の毛だった。

おにぎりも開封されていた。

半分に割った。

中からは、人の爪が出てきた。

「何だこれっ!」