「それは?」

「津川君、物知らずだなぁ、君ゃ。これは生ゴミ乾燥機という
比類なき優れ物であぁる。」
えへん、と胸を張る。

「ははぁ、生ゴミの。何に使うんですか、そんな大きな物。」
津川君が訝しく思うのも無理はない。明らかにそれは業務用に見えた。

「これはだねぇ、大抵の生ゴミは処理できるのだよ。
野菜屑、生肉、魚。一度に10kgは処理できる。
からからに乾いた良い肥料になるのだよ。
君、表の畑を見ただろう?あの場所に撒く。
そりゃあもう、素敵な作物が出来るのさ。」

「ははぁ、先生がそんな趣味をお持ちとは。
それで今もゴミを処理してたと?」

立川先生は大型の包丁をササッと水で洗い流し、
綺麗に拭いた。
「ちと豚肉を腐らせてしまってね。処理してたのさ。
さて、原稿だな。ちょっと待ってくれ、あと少しで
書きあがる」

「ありがとうございます。助かります。…ところで先生、
奥様はお出かけですか?」

そう言えば、先生が言う通りだ。
いつもなら美味い茶を淹れてくれる奥方が見当たらない。
立川先生には、やや派手ではないかと思われる女性では
有ったが、淹れてくれる茶は美味かったのだ。

「あ?…あ、あぁ家内か。ちょっと旅に出た。しばらくは
帰らないかもしれん」
立川先生、何故か口ごもりながら答えた。


四へ