「真也、お父さんカラス来ないね」
「おとーしゃん、カァスじゃないよ」
母を見もせず、真也が言った。
「え?でも、あんた、いつも言ってたじゃない」
美鈴は焦っている自分に気付いた。
いつのまにか、あのカラスが生活の一部に
なっていたのだ。
「おとーしゃんね、カァスから、こっちにうつった」
真也が小さな指で部屋の片隅を指し示した。
思わず息を呑む美鈴。
真也の指差す先には、徹の仏壇があった。
真也はそこにある父の遺影をジッと見ている。
「ニコニコしてゆよ。行ってきますって、いってる」
「そう、そうなの」
美鈴の目から、涙が止め処なく溢れた。
「行ってらっしゃい、あなた。また、お盆には帰ってきてね
真也と二人、待ってますからね」
そう小さくつぶやき、真也を抱きしめる。
「いたいよ、おかーしゃん、ねぇ、おなかすいた」
「うん、うん、今作るね。まってて。今日はハンバーグに
しようね」
カラスが飛んでいく。
ただ真っ直ぐに西の空に帰っていく。
カラスはすでに闘いの事すら覚えていない。
無論、先生のことも覚えてはいない。
何となく、気になるマンションがあったが、
それが何故かは判らない。
カラスは、カラスに戻ったのだ。
「杉山さん、無事に行って良かったな。
愉快な人だったなぁ…もう会えない人が
また増えてしまった」
イブは、いつまでも西の空を見ている。
福も、そんなイブを見ていた。
先生は、こうやって幾つもの別れを経験してきたのだろう。
そう考えると、涙がこぼれそうになる。
福は、眠ったふりをすることにした。
「おとーしゃん、カァスじゃないよ」
母を見もせず、真也が言った。
「え?でも、あんた、いつも言ってたじゃない」
美鈴は焦っている自分に気付いた。
いつのまにか、あのカラスが生活の一部に
なっていたのだ。
「おとーしゃんね、カァスから、こっちにうつった」
真也が小さな指で部屋の片隅を指し示した。
思わず息を呑む美鈴。
真也の指差す先には、徹の仏壇があった。
真也はそこにある父の遺影をジッと見ている。
「ニコニコしてゆよ。行ってきますって、いってる」
「そう、そうなの」
美鈴の目から、涙が止め処なく溢れた。
「行ってらっしゃい、あなた。また、お盆には帰ってきてね
真也と二人、待ってますからね」
そう小さくつぶやき、真也を抱きしめる。
「いたいよ、おかーしゃん、ねぇ、おなかすいた」
「うん、うん、今作るね。まってて。今日はハンバーグに
しようね」
カラスが飛んでいく。
ただ真っ直ぐに西の空に帰っていく。
カラスはすでに闘いの事すら覚えていない。
無論、先生のことも覚えてはいない。
何となく、気になるマンションがあったが、
それが何故かは判らない。
カラスは、カラスに戻ったのだ。
「杉山さん、無事に行って良かったな。
愉快な人だったなぁ…もう会えない人が
また増えてしまった」
イブは、いつまでも西の空を見ている。
福も、そんなイブを見ていた。
先生は、こうやって幾つもの別れを経験してきたのだろう。
そう考えると、涙がこぼれそうになる。
福は、眠ったふりをすることにした。