女性が立ち上がりながら言う。
意外と可愛いらしい声だ。
話しながらマスクを外す。
その下から、形の良い小さな唇が現れた。
「あ、あれぇ?」
「なんだよ、違うじゃないか。お前達、慌て者だな。
どうも、私は樹林。都伝隊隊長をやっております。
どうなされたんですか?こんなところで」
女性は頭を何度か軽く振り、何事か考えているようである。
「判らないんです。気がついたらここに居ました。
私の名は…私は…」
苦しそうに頭を抱える。
「…思い出せない。私は誰?」
よろめいて樹林の薄い胸に倒れこむ。
「ふんむっ!」
必死で堪える樹林である。
頭脳労働には自信が有るが、肉体労働には全く自信が無いのだ。
何とか持ちこたえる樹林の指先でカエルがニコニコと笑っていた。
とりあえず、女性の介抱を優先にという結論が出た。
事務所に運び、ソファーに寝かせる。
女性は、よく見ると長い旅の途中のようだ。
先ほどは判らなかったが、コートは所々擦り切れ、
靴も汚れている。
が、どれほど汚れていても、内側から溢れ出る美しさは隠せない。
意外と可愛いらしい声だ。
話しながらマスクを外す。
その下から、形の良い小さな唇が現れた。
「あ、あれぇ?」
「なんだよ、違うじゃないか。お前達、慌て者だな。
どうも、私は樹林。都伝隊隊長をやっております。
どうなされたんですか?こんなところで」
女性は頭を何度か軽く振り、何事か考えているようである。
「判らないんです。気がついたらここに居ました。
私の名は…私は…」
苦しそうに頭を抱える。
「…思い出せない。私は誰?」
よろめいて樹林の薄い胸に倒れこむ。
「ふんむっ!」
必死で堪える樹林である。
頭脳労働には自信が有るが、肉体労働には全く自信が無いのだ。
何とか持ちこたえる樹林の指先でカエルがニコニコと笑っていた。
とりあえず、女性の介抱を優先にという結論が出た。
事務所に運び、ソファーに寝かせる。
女性は、よく見ると長い旅の途中のようだ。
先ほどは判らなかったが、コートは所々擦り切れ、
靴も汚れている。
が、どれほど汚れていても、内側から溢れ出る美しさは隠せない。