彼がイラクに出兵して
半年が経つ。

二週間前に届いた手紙
には、クリスマスには
帰れそうだって書いて
あったけれど。


トニー、みんな寂し
がってるわ…
ディブも大きくなった
わよ。
お父さんは平和の為に
戦ってるんだ、って
いつも言ってる。

声が貴方に似てきたわ。


あら?誰かしら…


扉を開けるとそこには
軍服を着た男が居た。

男は手紙を差し出し
ながら、こう言った。

「トニー・ウェザビー
さんの奥様ですね。
これを…」


その封筒の中には、
ねじ曲がった認識票と
血に染まった手紙が
入っていた。




『びっくりしないで
くれよ、マイラブ。
イラクでこんな物が
手に入るなんて、奇跡
だよ!クリスマスを
楽しみにしておけと
ディブに伝えてくれ』




「…彼は?彼はどう
したの!」


「残念ながら…」


玄関先に座り込んだ
私に、男が包みを差し
出した。


「…これは?」


「ウェザビー軍曹は
御遺体も残らないほど
の爆発に巻き込まれ
ました。
ところが、軍曹の
ふところにあった
これだけが全く無傷で
見つかったんです。」


私は震える指先で
包みを開けた。
その中からは、
ディブが大好きな
ブルドーザーの玩具が
出てきた。


全く無傷のそれには
『私の宝物・ディブへ
』と書かれた
クリスマスカードが
添えてあった。



ねぇ、トニー。
私が見たかったのは
この奇跡じゃないわ。