それに対して三谷は、奇妙な表情を浮かべた。

「冗談じゃない。血の滴るようなステーキも、肉汁が溢れ出すハンバーグも、汗を流しながらビールと一緒に食うチゲ鍋も、止めるつもりは無い」

「なら何で」

「止めるつもりは無いが、食わせてもらえないんだ」

誰が、と問う吉井に、三谷は一言、見てりゃ判るよとだけ答えた。


「お待たせしました!ビールと唐揚げっす」

吉井の顔が忽ちほころんだ。

「これこれ、こいつが美味いんだ」
一口頬張る。
むっちりとした鶏肉が歯に心地よい。
適度にスパイシーな味わいが、黒ビールにピッタリと合う。

が、三谷は、その様子を羨ましげに見ているだけだ。
箸を伸ばそうともしない。

「なんだよ、お前も食えよ」

「駄目なんだよ、食べさせてもらえないって言ったろ」

見てな、と言い捨てると三谷は唐揚げに箸を伸ばした。

途端に唐揚げの皿が動いた。

「な?」

「な、じゃないよ。何、今の?!」

「唐揚げだけじゃない。見てろよ」

三谷は、今度はビールに手を伸ばした。
同じようにビールがスイッと離れて行く。

「何だ何だ何だ?!」

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