ホームセンターに材料を買い出しに行く。
あれほど憂鬱だった雨も、全く気にならない。

買ってきた材料を前に、梶谷は設計図を描いた。

ああもしよう、こうもしようと迷ったが、結局今までの形のまま、サイズを少しゆったりと取った。
材料を鋸で切り分けながら、梶谷は子犬の頃のポン太を思い出していた。

ころころと転がるように走り回る。

幼かった娘は、芝生の上でじゃれあっては顔中舐められていた。

結婚する前の晩、娘の顔を流れ落ちる涙を舐めていた。

散歩に連れて行くと、近所の寿司屋の大将から、余った玉子焼きをもらう。

優しい性格だから、鼻の上に止まった蝶々も払おうとしない。


結局、番犬にはなれなかった。

でも、大事な家族の一員にはなれた。

いつの間にか梶谷は泣きながら犬小屋を作り続けていた。

どんなに遅く帰っても、ポン太が必ず出迎えてくれた事を思い出したのだ。



最終へ