「グルカ様。この近くにはミランの村があります」

「ミラン…聞いたことがある。魔法を生業にしている村では
無かったか?」

「さようでございます」

しばらく考え込んでいたグルカは部隊に命令した。
「立ち寄ってみよう。もしかしたら、トマムが居るやもしれぬ。
早く探し出さないと、国王様がお怒りだ」

「ふむ、そうですね。位置関係から考慮してもこの辺りに
落ちた可能性は高いです」

己の名前が出た事に驚きながらも、トマムは冷静に状況を判断していた。、
自分を探す理由は判らないが、出来れば争いは避けたい。
今、名乗り出れば良いのだろうが、何よりも村人のことが心配になった。

まずは皆を無事な場所へ隠してからだ、トマムはそう考えた。
僅かな音すら立てずに樹上から下り、村へ急ぐ。
畑や家は仕方無いが、何としても村人達だけは逃がさねば、
その思いがトマムを走らせている。
だが、焦るあまり、トマムは己の頭上に気付かなかった。
小さく黒い影がトマムの後を追っている。
リンネであった。
クスクスと笑っている。