ケンちゃんに渡したのと同じ、ターコイズが付いたナイフである。

「しばらくは、これを枕元に置いて寝なさい。
それと、吸わなくても良いからタバコを」

「それって…僕らまだ危ないってことですか」

ママさんは強く頷く。

「相手さん、蛇を飼ってるからね。次の餌が見つかるまでは油断できない」

美智恵は、その夜も、次の夜も黒い物の夢を見たらしいが、無事に朝を迎えることが出来た。

三日目の夜は、何も起こらなかった。


以上が俺が聞いた話だ。
おそらく、次の入居者が決まったのだろうね、とママさんは事も無げに俺に言った。


「その人は…助けないんですか」

ママさんは悲しげに首を振ると言った。
「あれは、立ち向かえる存在じゃない。
たいへん古くからいる存在だから」

今でもまだ、そのマンションはある。

心斎橋から難波にかけて、三角屋根のマンションがあれば気をつけた方が良い。
立ち入ってはいけない。



あぁ、そうだ。

この話を読んだぐらいでは、黒い物の夢を見ないとは思いますが…

見てしまったらごめんなさい。