日増しに強くなる日差しが夏の訪れを思わせる頃、
晃はこの島に現れた。
長い旅を続けていることは明らかであった。
海岸近くにあるキャンプ地にテントを張り、晃は暮らし始めた。
この御時世である、村人は当然、警戒心を持つ。
が、晃の屈託の無い笑顔が、村人達の警戒心を
解くのに、それほどの時間は掛からなかった。

晃は日本全国を旅している途中であった。
畑の手伝いや、漁の手助けをして幾ばくかの金を
手に入れては、のんびりと旅を続けているのだ。
あまり娯楽の無い島の子供達は、こぞって彼のテントを訪れた。
その中の一人が仁美であった。
晃は、子供達に色々な話を聞かせ、様々な遊びを教えた。
海岸に流れ着いた流木で玩具を作るのもお手の物である。

そんな或る日のこと。
彼のテントに向かう途中、一人の少年が岩場で転倒し、
頭を強く打ってしまった。
島には診療所が無い。
船を急がせても、1時間近くかかる。
そうしている間にも、少年の顔色は見る間に蒼褪めていく。
泣き叫ぶ母親をなだめ、父親が船に向かうべく診療所を出ようと
した時、晃が現れた。