たどり着いた県庁で、祖母の姿を捜す。
見覚えの有る絣の着物を着た後ろ姿が視野に入った。

「おばあちゃんっ!」

すいません、通してください、と人波を掻き分けて走った。
祖母は杖をつきながら、ゆっくりと着実に歩んでいる。
ようやく追いついた。

「おばあちゃんっ!」

聴こえないようだ。
驚かせないように、そっと前に出て、体を屈め話し掛けた。
「おばあちゃん、あたしよ。奈々子」

祖母は、目を瞬かせていたが、どうやら判ったようだ。
にんまりと微笑んだ。

「おや、奈々ちゃん、どうしたの?こんな所で」
「どうしたのじゃないよ、おばあちゃんこそ何でこんな遠くに来たの?」
祖母は、奈々子の問いに応え、腕をゆっくり上げた。
指先が示す先には、何かの展示会が開催されている。

「あそこに行きたい」

看板には『戦時中の思い出写真展』と書いてあった。

奈々子が家に連絡している隙に祖母はまた、ゆっくりと歩み始めた。

「あ、おばあちゃん待ってよ!あたしも行くから」

ここで目を離すわけにはいかないと、奈々子は急いで後を追った。
閑散とした会場は、ブース毎に写真パネルが飾られてある。
その中の一つに祖母は向かっていた。

四へ